アジャイル開発では、一般的に以下の3つの役割が基本とされています。
- PO(プロダクトオーナー)
- SM(スクラムマスター)
- DEV(開発チーム)
ここには「プロジェクトマネージャー(PM)」という役割は登場しません。
そのため、「アジャイルにPMは不要」という話を耳にすることもあります。
ただ、実際の現場ではどうでしょうか。
結論から言うと、PM的な役割はむしろ必要になるケースが多いと感じています。
なぜ現場ではPMが必要になるのか
理想的なアジャイルは、小さなチームが自律的に動くことで成立します。
しかし、日本の開発現場では次のような状況がよく発生します。
- チームが複数に分かれている
- POと開発チームの距離が遠い
- 組織的な意思決定に時間がかかる
こうなると、各チームはそれぞれの最適を目指す一方で、全体としての整合性が崩れやすくなります。
例えば、
- チーム間で仕様の解釈がズレる
- POからの要件が滞る
- 変更が頻発し、手戻りが増える
といった問題です。
このような場面では、チーム横断で調整する役割=PM的な存在がいた方が、結果的に効率が良くなります。
「管理者」ではなく「横断者」
ここで重要なのは、従来型の「進捗管理をするPM」ではないという点です。
これから求められるのは、
- 機能横断で仕様を理解できる
- 役割横断で会話ができる
- 全体最適の視点で意思決定を支援できる
いわば、**“横断的に見る力を持ったPM”**です。
AI時代で顕在化する「個別最適の限界」
最近はAIの進化により、実装の生産性は大きく向上しています。
しかし、実際のプロジェクト全体で見るとどうでしょうか。
- 開発は速いのに要件が出てこない
- 意思決定が遅い
- 仕様変更が多く、リファクタリングが増える
結果として、思ったほど納期も品質も改善しないというケースが多く見られます。
つまり、
👉 ボトルネックは「開発」ではなく「全体の流れ」にある
ということです。
現在のAI活用は、どうしても開発などの個別最適に寄りがちです。
しかしこれからは、全体最適の中でAIをどう使うかが重要になります。
実践している取り組み
そのため、私は以下のようなアプローチを取っています。
- システム全体の仕様を把握する
- AIで一度実装してみる
- リバースエンジニアリングで仕様を文章化
- 機能を横並びで比較し、整合性をチェック
- 横断的な課題を洗い出す
アジャイルでは、開発者はどうしても自分の担当範囲に集中しがちです。
その結果、
- 機能間の整合性
- 仕様の抜け漏れ
といった点が見落とされることがあります。
こうした部分を補うのが、横断視点の役割です。
POとの会話で意識していること
もう一つ重要なのが、POとのコミュニケーションです。
開発者視点で話すと、どうしても細かい話になりがちです。
しかしそれでは、
- 意思決定が遅れる
- 本質的な議論が進まない
といった問題が起きます。
そのため、
👉 適切な粒度で会話すること
を強く意識しています。
まとめ
アジャイル開発において、PMは形式上不要とされています。
しかし現実のプロジェクトでは、
- チーム間の調整
- 全体最適の実現
- ボトルネックの解消
といった観点で、PM的な役割はむしろ重要になっています。
そしてAI時代においては、
👉 「個別最適を加速する人」ではなく、「全体最適を設計・調整する人」
が価値を持つようになります。
アジャイルかウォーターフォールか、ではなく、
プロジェクト全体をどう成立させるか。
その視点が、これからますます重要になっていくと感じています。