鈴木祐さん著書の『運の方程式』。
発売された頃に購入し、新しいことに挑戦するときや挫折を経験したときに繰り返し読み返している一冊です。
もちろん、努力や才能は重要。
しかし現実には、同じように努力していても結果が大きく異なることがある。
- どの会社に入るか
- どんな人と出会うか
- どのタイミングで挑戦するか。
これまでの成功や失敗を振り返ると、自分ではコントロールできない偶然の積み重ねが少なからず影響しているように感じます。
だからこそ私は、「運」というものをもっと知りたいと考えて、本書『運の方程式』を手にとりました。
ただし、本書は、運気を上げるためのスピリチュアルな本ではありません。
運を神秘的なものとして扱うのではなく、良い偶然が起こる確率を高め、その偶然を成果へとつなげるための考え方や行動を、科学的な知見をもとに解説した一冊です。
運の方程式
タイトルに「方程式」とあるように、本書では幸運を次のような式で表現しています。
幸運 =(行動 × 多様 + 察知)× 回復
それぞれの要素は次のような意味です。
- 行動:具体的なアクションの量と質
- 多様:行動のバリエーションや人とのつながり
- 察知:身の回りで起こる変化やチャンスに気づく力
- 回復:失敗や挫折から立ち直る力
本書の面白いところは、「運」を生まれつきの才能や偶然として片付けるのではなく、
良い偶然が起こる確率を高めるための行動や考え方として整理している点です。
言い換えれば、
本書には良い偶然が起こる確率を高める為の次の力を高めるためのヒントやトレーニング方法が数多く紹介されています。
- 行動力
- 察知力
- 継続力
- 回復力
特に、この中でも「回復力」が印象に残ったので「回復力」に焦点をあてます。
回復力
幸運の発生率を上げるには行動の量をふやすしかなく、行動の量を増やせば自ずと不運の量も増える
本書では、幸運の発生確率を高めるためには行動量を増やすことが重要だと述べられている。
「行動量を増やしましょう」という話はビジネス書や自己啓発書でもよく見かける。
しかし、本書で興味深かったのは、行動量が増えれば幸運だけでなく不運も増えるという考え方です。
確かに、新しいことに挑戦すれば、その分だけ失敗や挫折を経験する機会も増える。。。
つまり、幸運をつかむためには、失敗を避けるのではなく、失敗しても前に進み続けられることが重要になる。
そのため本書では、
・挫折から立ち直る力
・失敗を次の行動に活かす力
つまり「回復力」が重要な要素として位置付けられている。
本書では、回復力を鍛える方法として次の3つが紹介されています。
① 科学者マインドセット
科学者は仮説を立て、実験し、結果を分析することを繰り返す。
実験が思い通りの結果にならなかったとしても、それは「失敗」ではなく、新しいデータを得たことになる。
同じように私たちも、失敗を能力不足の証明として捉えるのではなく、改善のための情報収集だと考えることができる。
失敗の中には、次の成功につながる重要なヒントが含まれている。
② 侵襲アクセプタンス
失敗した後、
「なんであんなことを言ってしまったんだろう」
「自分はダメだ」
といった考えが頭の中で何度も繰り返されることがあると思います。
本書では、このように失敗後に自動的に浮かび上がる思考を「侵襲」と呼んでいます。
必要以上に失敗を反省し続けたり、自分を責め続けたりすると、メンタルの悪化や行動力の低下につながる。
本書では性格テストを通じて、自分が自己批判型なのか、それとも自己欺瞞型なのかを把握できるようになっており、その傾向に応じた対処法として、
・名言ワークアウト
・エビデンス法
・プラスマイナス法
などが紹介されています。
詳細は本書を読んで頂ければと思いますが、こうした思考の傾向を把握するだけでも改善に繋がると考えています。
③ 自己認識クエスチョン
挫折を経験すると、
「なぜあんなことをしてしまったのか」
「どうして失敗したのか」
と過去ばかりに意識が向きがちです。
そこで本書では、自分の強みを再認識し、未来へ意識を向け直すための36の問いが紹介されています。
過去の失敗を反芻するのではなく、これから何ができるのかを考えるきっかけを与えてくれる内容です。
私は特に、「侵襲アクセプタント」が印象に残りました。
「科学者マインドセット」的な考え方は持てている気がしていましたが、
どうしても失敗した時に、必要以上に自分を責めたり・反芻してしまいます。
自分に寛容さを持ちつつ、失敗を「能力の低さの証明」と考えるのではなく「次の成功に向けたデータ収集」と捉えられれば、行動への心理的ハードルは大きく下がる気がしました。
最後に
今回の記事では、『運の方程式』の中でも特に印象に残った「回復力」に焦点を当てて紹介しました。
本書では回復力だけでなく、行動力、察知力、多様性を広げる力など、幸運の発生確率を高めるための考え方やトレーニング方法が数多く紹介されています。
必要に応じて読み返せる内容が多く、私自身も何度も参考にしている一冊です。
冒頭でも触れましたが、私は人生において「運」が占める割合は決して小さくないと考えています。
そのため、「とにかく行動量を増やそう」というアドバイスだけではなく、「行動量が増えれば不運や失敗も増える」という現実を踏まえたうえで、その乗り越え方まで解説している点に大きな価値を感じました。
幸運を手にするためには行動が必要です。しかし、行動すれば失敗も増えます。だからこそ、失敗から立ち直り、再び挑戦する回復力が重要になるのだと思います。
運を単なる偶然や才能ではなく、「高めることのできる技術」として捉えてみたい方には、ぜひ一度読んでいただきたい一冊です。

