プロジェクトが安定してくると、「ようやく落ち着いたな」と少し安心することがあります。
ですが、そんな時こそ、
思わぬ落とし穴にはまることがあると感じています。
今日は、
プロジェクト管理が「ルーティン化」してしまったときに起きがちな問題と、私なりに意識しているポイントについてお話ししたいと思います。
これまでの経験
これまで、いくつかのプロジェクトで立ち上げ段階に関わったり、ベンダー交代やPM交代に伴う体制の巻き取りを行ってきました。
そういった場面では、
まず目の前の課題を整理し、
どうすれば安定的にプロジェクトを回せるかを考えながら動いてきました。
例えば、
スキルセットを持ったメンバーのアサイン、
プロジェクト管理の見直し、
コミュニケーション方法の調整 など
必要に応じてさまざまな打ち手を講じてきました。
そして、一定のルールを整備し、それを守って進めていけば大丈夫、という安定した状態をつくるようにしてきました。
業務の中で手順化できる部分については、他の担当者に移管するようにもしています。
そうすることで、自分はより本質的な課題対応に時間を割けるようになります。
安定運営の先にある落とし穴
ところが、こうした「安定運営」が整ってくると、注意が必要なタイミングが訪れます。
それは、「ルーティン化」の罠です。
ルール通りに進められるようになったことで、「今やっている作業をこなしていればOK」という雰囲気が生まれてしまうことがあります。プロジェクト管理が、ただの“作業”になってしまうのです。
この状態が続くと、変化に対する感度が鈍り、ちょっとした異変や兆しに気づくのが遅れてしまいます。結果として、本来であれば未然に防げた問題が、大きなトラブルとして表面化してしまうこともあります。
移管時に大切にしていること
そこで、私が業務を移管する際に意識しているのは、「背景の共有」と「柔軟性の担保」です。
単に「この手順でやってください」と伝えるだけでは、何か状況が変わったときに対応できません。
なぜこの作業が必要なのか、どういう経緯でそのルールができたのか――そうした背景まで理解してもらうようにしています。
また、状況によっては手順を見直したり、カスタマイズする必要が出てくる場面もあります。
そのときに「これはこういう理由でやっている。だからこの部分は変えても大丈夫」と判断できるような視点を持ってもらえるよう意識しています。
おわりに
よく「国は興すよりも、続ける方が難しい」と言われます。これはプロジェクトにも当てはまる言葉だと感じています。
立ち上げ時は課題が明確で、目標に向かって一直線に取り組むことができます。
しかし、プロジェクトが安定し始めると、そこには“ルーティン化”という見えにくい落とし穴が待っています。
日々の業務を「こなす」ことが目的になってしまい、変化への対応が後手に回ることがあるのです。
でも、現実のシステム運用では、常にユーザーがいて、そのユーザーのニーズや業務内容は日々変わっていきます。
だからこそ、私たちに求められるのは、
「変化を前提に考える姿勢」です。
変わり続ける業務に合わせて、システムを最適な形にカスタマイズしながら提供していく。
そうした柔軟な思考と姿勢を持ち続けることで、プロジェクトは長く、価値あるものとして生き続けていくのだと思います。