マネジメントの理想は管理不要な状態
だとしても、
現実には適切な管理が不可欠。
経験を通じてその大切さに気づいた。
若い頃、「プロジェクトは管理しすぎない方が理想」と信じていて、
自由で柔軟なチームが良いと考えていました。
でも、実際に自分がプロジェクトを預かる立場になったとき、現実はそう甘くないということを何度も思い知らされました。。
そして今は、
「地道な管理の積み重ねこそが、トラブルを未然に防ぎ、チームを守る力になる」と考えてます。
今回は、そんな気づきをくれた過去の経験と、私なりにたどり着いた「管理と理想のちょうどいいバランス」について振り返ります。
派手じゃないけど、地に足がついたマネジメント
社会人になりたての頃、とあるプロジェクトでご一緒したマネージャーの方がいました。
その方は、毎日地道にWBSをチェックし、課題やQAの棚卸しを丁寧に行っていました。
当時の私は、それを見て「地味だな……自分はもっと、カッコよくプロジェクトを動かすマネージャーになりたい!」と思っていました。
顧客とビシッと交渉し、メンバーを鼓舞し、未来を見通して提案する──そんな“華のある”マネジメントを夢見ていたんです。
管理しない理想主義が生んだ「火消し屋」時代
そんな理想にとらわれていた私は、「管理しない方がいい」「自己組織化が理想」だと信じ、
実際にプロジェクトを任された際も、ほとんど管理という管理をせずに進めてしまいました。
その結果どうなったかというと、案の定、あちこちで小さなトラブルが頻発。
そのたびに私は“火消し”に奔走していました。
「なんとか乗り切った!」と思う日々。
でもそれは、単に燃えた現場を必死に消していただけだったのです。
「全然管理してないね」──上司の一言で目が覚めた
そんなある日、上司に言われた一言が、私の考えを大きく変えるきっかけになりました。
「全然管理してないね」
その言葉をきっかけに、私はようやく気づいたのです。
マネジメントとは、火がついた後に走り回ることではなく、そもそも火がつかないように整えておくことだ!と。
あの地味だと思っていたマネージャーの凄さに気づいたとき
振り返ると、あの頃「地味だ」と感じていたマネージャーの方のやっていたことは、まさに予防のマネジメントでした。
WBSを毎日確認し、課題の棚卸しをしながら、
どこにリスクが潜んでいるか、何を先回りしておくべきか――それを常に把握していた。
その徹底ぶりこそが、プロジェクトを安定して回していた理由だったのだと、振り返ってます。
自己組織化とマネジメントは、対立しない
もちろん、アジャイル開発や保守プロジェクトのように、
サイクル性があるプロジェクトでは、徐々に管理工数が減っていき、自己組織化が進むのが理想です。
でも、自己組織化されたチームにも、何かしらのテコ入れやフォローは必要です。
放っておけば自然とうまくいく、というわけではありません。
だから私は今、「最低限押さえるべきところは押さえる」ことを大切にしています。
緩やかでも、ちゃんと見ている。手を差し伸べられる準備をしておく。
それが、今の私にとっての“ちょうどいいバランス”です。
おわりに
理想を掲げて走っていた若い頃。
地味だけど丁寧な管理を続けていた先輩。
トラブル対応に追われた自分。そして、上司の一言でようやく気づけたこと。
すべてがつながって、今の自分のマネジメントスタイルがあります。
プロジェクトには“見えない火種”が常に潜んでます。
だからこそ、見えないところまで目を配る管理こそが、チームの未来を守る力になる。
そのように思います。